2020年1月30日木曜日

Heathrow Airport ヒースロー空港 ラウンジ ユナイテッド クラブ


ロンドンの玄関口の一つであるヒースロー空港には日本からの直行便が日本航空が羽田から1日2便、ANAが羽田から1日1便、ブリティシュエアライン(BA)が羽田、成田、関空から1日3便運行している。各社が使用するターミナルは異なっており、日本航空が第3ターミナル、ANAが第2ターミナル、BAが第5ターミナルを使用している。

今回、紹介するのはANA便を利用する乗客が利用できるユナイテッド航空のラウンジ「ユナイテッド クラブ」を紹介する。ファーストクラス利用者はシンガポール航空が提供するファーストクラス専用ラウンジ「シルバークリスラウンジ」も利用できる。

営業時間


5:00〜22:00

利用資格


・ファーストクラス(+同伴者1名)、ビジネスクラス、プレミアムエコノミークラス利用者
・ANA「ダイヤモンドサービス」、「プラチナサービス」、スーパーフライヤーズ会員(+同伴者1名)
・スターアライアンスゴールドメンバー(+同伴者1名)

ラウンジの場所


ANAの搭乗口は第2ターミナルのサテライトB46番搭乗口を使用する。ユナイテッドクラブはB46番搭乗口の目の前にある為、搭乗開始時刻までラウンジでゆっくり過ごす事ができる。ターミナルビルからサテライトまでは徒歩約20分かかる為、時間には余裕を持って行動しよう。

出国手続きが終わったら、免税品店でお買い物を済ましサテライトへ向かう

サテライトとターミナルビルは地下通路で繋がっているが、
一方通行の為買い物は事前に済ませる

サテライトに着くと右手が搭乗口、左手がラウンジとなっている

エレベータ若しくは階段で上層階に登る

エントランス


パスポートと搭乗券をフロント係に提示する

ラウンジの雰囲気



ラウンジに入ると右側にシャワー室、トイレ(2箇所)、電話室が順にあり、ラウンジ中央にはアルコール類を提供するバー、手前と奥には供食スペースがある。

アルコール類は全てバーカウンターで注文する
コンセント付きの座席は窓側(写真左側)にある

中央部のソファーは人気で混雑時には直ぐに埋まってしまう

ミーティングルーム
雑誌とテレビを提供しているが、
自分の端末を利用する人が多い為あまり人気がない

生活雑誌をメインに提供

食事とドリンク



空港のラウンジで最も期待するサービスは食事ではないだろうか。ここユナイテッドクラブでは種類こそ多く無いもののサラダやスープ、パスタなどの軽食とお菓子をブッフェスタイルで提供している。

イギリスは紅茶の文化と言う事もあり、
ティータイムに相応しいクッキーやスコーンが用意されている

メイン料理はパスタ、チキンソテー、パイなどが提供されている

サラダの種類が多いのが特徴、
アレルギーが含まれる食材は料理名の書いた立札に絵柄で表示している

コーヒーはイタリアを代表するコーヒーメーカー「illy」の豆を使用している
エスプレッソ用のカップも用意されており本格的なエスプレッソを楽しむ事ができる

ドリンクコーナーはミーティングルーム付近にも設置されている

シャワールーム


シャワールームを利用する際は係員に搭乗券を見せて個室に案内して貰う。個室の中にはシャワー、トイレ、化粧台、洗面台があり。タオル、シャンプー等の石鹸、ドライヤーが提供されている為、手ぶらで来ても大丈夫だ。



 トイレ



トイレはラウンジ内に2箇所あり、どちらも男女共用の完全個室性となっている。男女共用である事に抵抗を持たれる方もおられるかと思うが、それぞれの個室が大きく防音もしっかりしているので、利用してみるとそこまで気にはならない。

電話室



ビジネス目的の出張でラウンジを利用する人も多いと思うが、人の目を気にせず電話をする事ができる電話スペースがある。コピー機もある為、急な書類作成にも対応できる。

おわりに


今回紹介したユナイテッド クラブはスタイリッシュなデザインに行き届いたサービスを提供しており搭乗までの時間を快適に過ごす事ができた。また、ラウンジの客層についてだが、北米路線の利用者はその殆どがビジネスマン、ビジネスウーマンだ。これに対し、アジア路線の客層は家族連れ若しくはシニア世代が中心の印象だ。利用者は多いが決してガヤガヤしている訳では無い。食事の味も私の感覚では美味しかった為、心配は要らないと思う。


2020年1月24日金曜日

鉄道乗車レポート イギリス編 第5回 Class395


シリーズ第5回目となる今回は日本の日立製作所が生んだClass395を解説する。
Class395は日立製作所が欧州市場参入への足掛かりとなった車系だ。この車系での成功が無ければ今日の日立レイルヨーロッパは無かったと言えよう。

この車両はHigh Speed 1 (HS1)と呼ばれる高速新線を利用した近郊特急向け車両として開発された。HS1は長年問題になっていたユーロスターの英仏海峡-ロンドン間の所要時間短縮を目的に建設された高規格路線となっている。元々ユーロスターの開業時(1994年)から計画はあったのだが、イギリス国鉄が破綻、民営化されてしまった為、計画は遅れに遅れ開業は2009年まで伸びてしまった。

諸元


車両タイプ:動力分散式近郊型電車
製造メーカ:日立製作所
製造年:2007年〜2009年
編成:6両編成
最高速度:(高速新線) 225 [km/h], (在来線) 160[km/h]
制御方式:IGBT素子VVVF制御インバータ
軌間:1,435[mm](標準軌)

先頭形状



先頭形状は新幹線の設計で得られたトンネル進入時の騒音対策を考慮した設計となっている。しかし、2000年代初頭に欧州で制定された衝突事故を想定した安全基準に合格する為、衝撃吸収ブロックを左右に配置している。

車内インテリア




先頭形状が高速車両を思わせる流線型のフォルムから以前取り上げたClass800の様な長距離特急の様な車内を想像した方も多いかもしれない。しかし、Class395は高速新線を走るとはいえ、あくまで近郊型電車、車内インテリアは最低限の物となっている。第1回で取り上げたClass387に近い装備となっている。

車内表示器



三色LED1段、表示色はClass800のグリーンではなくアンバー。車内表示器は一般的なドア上や妻部ではなく、車両中央の天井に設置されている。

あとがき


今回は日立製作所が欧州市場へ参入するきっかけとなったClass395を取り上げた。高速新線を利用した都市間交通は非常に便利で快適だ。他国から大きく遅れを取ったイギリスの高速鉄道網が今後どの様に発展していくのか楽しみだ。


2020年1月22日水曜日

Chatham Historic Dockyard チャタム海軍工廠跡


英国海軍はロイヤルネイビーの名の下にかつては世界の海を制していた。しかし、2度の世界大戦と植民地の相次ぐ独立により現在はBlue-water navy(沿岸海軍)となってしまった。かつての栄光はイギリス各地にある博物館によって知る事ができる。

幹ドックとは陸上において船の建造、修繕に使用する設備である。英国ではチャタムとポーツマスの2箇所がヒストリック・ドックヤードとして今日我々が見る事ができる。日本の旧海軍工廠(呉、舞鶴、佐世保など)が戦後民間の造船所として活躍しているのに対し、建設に時間と費用のかかる造船所が博物館になっている事は20世紀初頭頂点に達したイギリス造船業界の衰退を物語っている。

アクセス



ロンドンから比較的近い為、いくつかのルートがあるが筆者はセント・パンクラス駅からのルートをオススメする。このルートはユーロスターの高速化用に建設されたイギリス唯一の高速鉄道路線を使用する為、他のルートより約30分ほど早く着くことが出来る。因みに車両は日本の日立製作所が製造したジャベリンことクラス395だ。

最寄駅のチャタム駅からは徒歩約30分。高低差はあるが、階段等は無いので比較的歩き易い。



営業時間


10:00〜16:00
休館日:11月末〜2月上旬
※詳細は公式HP参照

入場料


大人:£25(£22)
子供(4〜15才):£15(£13)
3才以下:無料
一部抜粋(詳細は公式HPを確認)



チャタム海軍工廠跡の見どころ


1. 北マスト貯水池



エントランス前の駐車場の一角に一際大きな貯水池を目にする事ができるだろう。ここはかつて帆船が軍艦の主流だった時代に帆を張るためのマストに使用する木材を保管していた。かつては池の辺に日本の舟屋の様な建物が詰めており、大工が木材の加工を行っていた。

2. 第4ドック HMSガーネット



エントランスから程近い旧第4ドックには装甲帆船であるHMSガーネットが入渠している。HMSガーネットは1903年建造の練習帆船である。初期の蒸気エンジンを搭載しており、無風状態でも走行が可能。

3. 第3ドック HMSオセロット



HMSオセロットはオベロン級通常動力潜水艦の9番艦。1964年就役の同艦は共産陣営の艦船の監視、追跡等の任務についた後、1991年に退役。現在はチャタム第3ドックで静かに余生を送っている。尚、同艦の艦内を見学をするにはエントランスで予約が必要な為注意が必要だ。

4. 第2ドック HMSキャヴァリア



第2ドックはナポレオン戦争の武勲艦HMSヴィクトリーを建造した歴史ある場所だ。現在ここに入渠しているのは1944年就役のC級駆逐艦HMSキャヴァリアである。第二次世界大戦及びインドネシア独立戦争に従軍し1972年退役。その後は各地で博物艦としての余生を送るが高額な維持費に何処も長続きはせず、1998年この地で保存されることとなった。第二次世界大戦に従軍した英国駆逐艦の中で唯一現存する艦となっている。

露天艦橋に英国面を感じるのは筆者だけだろうか

艦内は現役当時そのままの姿を留めている

5 . 蒸気、鉄そして潜水艦



この建物は造船所時代に船体を構成するブロックや艤装を製造していた工場の一部だ。現在は1階部分が博物館。それ以降はオフィスビルとして貸し出されている。

あとがき


今回ご紹介したチャタム海軍工廠跡はイギリス海軍の歴史を今に伝える重要な場所となっている。英国海軍に興味がお有りの方はポーツマスと共に訪れて見る価値は十分あると思う。ロンドンから比較的アクセスし易いので、イギリスにご旅行の際は是非予定に加えて欲しい。


2020年1月20日月曜日

世界旅紀行 イタリア Siena シエナ


イタリアの都市と言われると何を思い浮かべるだろうか。古都ローマ、水の都ヴェネチア、ファッションの街ミラノ、芸術の街フィレンツェ、美食の街ナポリと言った所だろうか。

今回ご紹介する街シエナはこれらの大都市と比べると小さな地方都市に過ぎないが、町の中心部は中世の面影を色濃く残しており、さながら映画の世界に迷い込んでしまったかのような美しい町だ。

アクセス



イタリアは欧州の中でも高速鉄道網にいち早く着手した国の一つだ。しかし、この街は主要な幹線から離れている為、イタリア中部の都市フィレンツェからローカル線を利用する。

どんな列車かはコチラをクリック


シエナの歩き方



シエナの街は丘の上に添うように広がっている。シエナ駅と町の中心部は約2kmほど離れている上に登り坂の為、足の不自由な人はバスを利用する事を推奨する。しかし、足に自信のある方は是非歩いて見て欲しい。石畳の路地や美しいレンガ造りの街並みは約30分間の散歩を決して飽きさせないはずだ。

シエナの見どころ


街全体が世界遺産のシエナだが、その中でも写真映えする絶景スポットを紹介する。

1. サン・ドメニコ教会



シエナ出身の聖人カテリーナの頭部を安置するサン・ドメニコ教会はシエナ駅と中心街のちょうど中間に位置する。聖人カテリーナは今も町の守護神として崇められている。ここからはシエナ中心街の全景を写真に収める事ができる。



2. ドゥオーモ



ドゥオーモと言えば真っ先に思い浮かべるのがミラノとフィレンチェだろう。ここシエナのドゥオーモもイタリアンゴシック建築の代表傑作である。建築期間は約3世紀(西暦12世紀〜14世紀末)にも及ぶ。因みにミラノのドゥオーモが建築されたのは14世紀〜19世紀なのでデザインが大きく異なっている。フィレンツェのドゥオーモは建築されたのが13世紀なので比較的似たデザインとなっている。



3. プッブリコ宮とマンジャの塔



シエナの中心であるカンポ広場を見渡す様に建っている建物(写真左)はプッブリコ宮。シエナ市の市庁舎となっている。イタリアは長らく小さな都市国家が独立自治する時代が続いた。その名残である。市庁舎の左にそびえるは高さ102mのレンガ造りの塔「マンジャの塔」である。この塔には入場料を払う事で登る事ができる。


しかし、内部は暗く険しい階段が幾重にも連なっている為、足腰に自信のある方にしかオススメ出来ない。内部があまりに狭い為、安全上荷物は塔に登る前にロッカーに預ける仕組みとなっている。



塔の頂上から眺めるシエナの街並みは正に息を飲む様な絶景である。塔に登るのは人数制限を設けたシフト制なので、各々写真を撮るなり、眼下に広がる街並みを眺めながら足の疲れをゆっくり癒す事ができる。


あとがき


如何だっただろうか。イタリアは食事は美味しく街並みは美しい私の好きな国の一つだ。そして、都市国家だった故に由来するそれぞれの都市が独自の個性を持っている事はきっと旅の楽しみとなるだろう。是非ともイタリアにお越しの際は地方の都市にも立ち寄って欲しい。



2020年1月17日金曜日

鉄道乗車レポート イタリア編 第4回 MDVE/MDVC客車


欧州では未だに旧式客車列車が数多く存在していると思っている人は多いかも知れない。しかし、フランスやドイツなどでは電車タイプや新型客車への置き換えにより急激に勢力を失っている。

所変わってイタリアでは在来線の近代化などどこ吹く風、今も旧式の客車列車が幹線からローカル線に至るまで現役で活躍している。
今回は主にローカル線で運用されるMDVE系及びMDVC系客車を紹介する。

諸元


運行会社:トレニタリア
車両タイプ:客車
製造メーカ:Imesi社、Breda社、Sofer社、O.ME.CA社
製造年:1981年〜1985年(MDVE)、1980年〜1990(MDVC)
最高速度:160 [km/h]
軌間:1,435[mm](標準軌)


MDVE系客車



後述のMDVC系と編成を組んで運用される。完全切妻形車体で天井部がスッキリとした外観になっている。ドアは外吊り片開きタイプのドアが片側2箇所設置されている。
また、車端部にはトイレや乗務員室が設けられている。

MDVC系客車



基本的な構造はMDVE系に準じた設計となっているが、ドアが両開き低床構造となっている。客室の高さはそのままにドア付近のみ低床となっているので車内に段差が存在するのが特徴。
また、この車系の特徴としてMDVE系には無い片側に運転台を設けた制御客車が存在する。

制御客車


制御客車タイプ
制御客車(平面)タイプ
MDVC系の制御客車は流線形タイプと貫通扉を備えたタイプの2種類が存在する。どちらも編成の端部に連結され、反対側に連結された機関車の制御が可能である。その為、折り返しをする駅等で機関車の機回しをせずにすむ。イタリアでは阪急電鉄梅田駅の様な行き止まり構造の駅が多い為、非常に便利な車両だ。

車内設備



車内設備はMDVE系、MDVC系共に共通である。
2-2配列の全席固定式クロスシートとなっている。座面は手入れが施しやすい様にレザー調に仕上げてある。窓側に設けられた白い箱はゴミ箱となっている。思えば日本も国鉄時代の客車は同様に灰皿が設置してあった。


トイレ



残念ながらトイレ内部をお見せする事は出来ないが、日本では絶滅した垂れ流し式のトイレとなっている。写真の丸印のパイプから汚物を外に排出する。列車が橋の上を走行していた場合、当然下に歩いてる人や車に降ってくるので鉄道橋の下は素早く通過した方が良いと個人的には思う。

牽引機


E464形電気機関車
D445形ディーゼル機関車

 牽引機は電化路線の場合はE464形等の電気機関車、非電化路線の場合はD445形等のディーゼル機関車が担当する。

あとがき


たまには時間を忘れて客車列車の旅などは如何だろうか。最新の列車に比べれば速度も快適性も劣るが、ゆったり流れる車窓の風景を眺めながら旅をするのも乙である。