幹ドックとは陸上において船の建造、修繕に使用する設備である。英国ではチャタムとポーツマスの2箇所がヒストリック・ドックヤードとして今日我々が見る事ができる。日本の旧海軍工廠(呉、舞鶴、佐世保など)が戦後民間の造船所として活躍しているのに対し、建設に時間と費用のかかる造船所が博物館になっている事は20世紀初頭頂点に達したイギリス造船業界の衰退を物語っている。
アクセス
最寄駅のチャタム駅からは徒歩約30分。高低差はあるが、階段等は無いので比較的歩き易い。
営業時間
10:00〜16:00
休館日:11月末〜2月上旬
※詳細は公式HP参照
入場料
大人:£25(£22)
子供(4〜15才):£15(£13)
3才以下:無料
一部抜粋(詳細は公式HPを確認)
チャタム海軍工廠跡の見どころ
1. 北マスト貯水池
エントランス前の駐車場の一角に一際大きな貯水池を目にする事ができるだろう。ここはかつて帆船が軍艦の主流だった時代に帆を張るためのマストに使用する木材を保管していた。かつては池の辺に日本の舟屋の様な建物が詰めており、大工が木材の加工を行っていた。
2. 第4ドック HMSガーネット
エントランスから程近い旧第4ドックには装甲帆船であるHMSガーネットが入渠している。HMSガーネットは1903年建造の練習帆船である。初期の蒸気エンジンを搭載しており、無風状態でも走行が可能。
3. 第3ドック HMSオセロット
HMSオセロットはオベロン級通常動力潜水艦の9番艦。1964年就役の同艦は共産陣営の艦船の監視、追跡等の任務についた後、1991年に退役。現在はチャタム第3ドックで静かに余生を送っている。尚、同艦の艦内を見学をするにはエントランスで予約が必要な為注意が必要だ。
4. 第2ドック HMSキャヴァリア
第2ドックはナポレオン戦争の武勲艦HMSヴィクトリーを建造した歴史ある場所だ。現在ここに入渠しているのは1944年就役のC級駆逐艦HMSキャヴァリアである。第二次世界大戦及びインドネシア独立戦争に従軍し1972年退役。その後は各地で博物艦としての余生を送るが高額な維持費に何処も長続きはせず、1998年この地で保存されることとなった。第二次世界大戦に従軍した英国駆逐艦の中で唯一現存する艦となっている。
露天艦橋に英国面を感じるのは筆者だけだろうか |
艦内は現役当時そのままの姿を留めている |
5 . 蒸気、鉄そして潜水艦
この建物は造船所時代に船体を構成するブロックや艤装を製造していた工場の一部だ。現在は1階部分が博物館。それ以降はオフィスビルとして貸し出されている。
あとがき
今回ご紹介したチャタム海軍工廠跡はイギリス海軍の歴史を今に伝える重要な場所となっている。英国海軍に興味がお有りの方はポーツマスと共に訪れて見る価値は十分あると思う。ロンドンから比較的アクセスし易いので、イギリスにご旅行の際は是非予定に加えて欲しい。
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