ラベル 座席 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 座席 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020年2月7日金曜日

IWM-DUXFORD ダックスフォード帝国戦争博物館 -VC10


帝国戦争博物館(IWM)ダックスフォードには4発のエンジンが全てリア配置の一風変わった旅客機を展示している。その名はヴィッカースVC10。英国の名門ヴィッカース社が手掛けた大型ジェット旅客機だ。今回はその歴史を紹介する。

設計案


ヴィッカース ヴァリアント爆撃機

時は1950年代に遡る。ヴィッカース社は英国王立空軍(RAF)向けにV1000と呼ばれる輸送機を開発していた。 これは先行していたヴァリアント爆撃機のデザインを踏襲し機体長を44.5m(146ft)に拡大した物だった。また、旅客機タイプのVC-7計画もあった。 

しかし、これらの計画は強大なライバルの出現により立ち消えてしまう。ボーイング707旅客機(B707)とKC-135輸送機だ。 これらアメリカ勢の台頭によりRAFは仮発注をしていた6機のV1000をキャンセルしてしまい、V1000は計画中止となった。 また、VC-7に関しても英国海外航空(BOAC)はボーイング社が提案したB707にロールス・ロイス製コンウェイエンジンを搭載しする案を採用した為、中止となる。

しかし、BOACは707では乗り入れる際に制約がある高高度且つ短い滑走路の空港に就航できる大型機を欲していた。これに答えるべくハイドレページ社はHP-97、ヴィッカース社はVC10を提案した(因みにヴィッカース社は公式には政府の資金援助無しに計画した事になっているが、政府からの資金援助があったのではないかと噂されている) 。結果、BOACはVC10案を採用し、1958に35機の契約が結ばれる。 また、RAFにも空軍輸送機として採用された。

設計



エンジンはロールスロイス社製コンウェイエンジンを4基搭載している(通常型はタイプ42、RAF及び後述のスーパーVC10はタイプ43)。高揚力が得られる様にエンジンは主翼からの吊り下げ式では無く、特徴的な4発リア配置となった。その為、主翼下部は非常にスッキリとしたデザインとなり、全幅に渡り高揚力装置が設置されている。


また、空力性能に関して王立航空協会(RAE)ファーンボロからの後押しもあり、尾翼はT字翼を採用している。 T字尾翼とする事で水平尾翼がエンジンの後流の影響を受けないのが狙いだ。


補助動力装置(APU)は Bristol Artouste 526を1基テイルコーンに搭載している。 

そして1962年6月29日、VC10初号機(G-ARTA)がヴィッカース社のブルックランド飛行場(ウェーブリッジ)で初飛行した。また時を前後して、胴体長を約4m(13ft)伸ばし座席数を130席→169席に増やし、フロンガスの冷房ユニットを強化したスーパーVC10が計画された。因みに1961年4月、BOACは発注機数を通常型×35機から通常型×15機+スーパーVC10×30機に変更している。

機内紹介


コックピットレイアウト



旅客機タイプは機長、副操縦士、航空機関士の3名体勢、RAFタイプはこれに航法士が加わる。旅客機タイプの通常型では自動着陸装置が搭載されていたが、スーパーVC10では撤去されている。これは装置が高価な上に着陸時にしか使用できず、搭載しているのも本機のみだった為である。また、RAFタイプでは軍用無線に対応する為、UHF通信操作盤がオーバーヘッドパネルに追加されている。


コックピットの窓には電気式ヒーターが有り、脱出用の窓が機長と副操縦士側にそれぞれ配置してある。

キャビンレイアウト


ギャレー



旅客機:前方に2箇所、後方に2箇所
RAF:先頭ドア付近中央に1箇所

乗務員用トイレ



コックピットの後方に1箇所。省スペース化の為、洗面台は壁面に収納できる様になっている。

トイレ


キャビン前方、ファーストクラス用トイレ
キャビン後方、エコノミークラス用トイレ

旅客機:前方に2箇所、後方に3箇所
RAF:機体後方ドア付近の両側に2箇所

ファーストクラス



座席配列は2-2。背ずりは簡易リクライニング機構付き。テーブルは前席の背面に収納されている。前席が無い場合は壁面に設けられたテーブルを使用する。

最前列のファーストクラスシート
背面テーブル展開時

エコノミークラス



座席配列は3-3。簡易リクライニング機構及び背面テーブルあり。

背面テーブルはファーストクラスと同じく二つ折にして収納

荷物棚



DH.106コメットや初期のB707では鉄道車両の様な開放式の荷物棚を採用していたが、乱気流を飛行する際に手荷物が落ちて来る危険性がある為、現在の飛行機では一般的な完全収納式の荷物棚になっている。

売上不振



1960年、BritishUnitedAirways(BUA)は南アメリカ路線向けにVC10 通常型 Type 1103を2機発注した。しかし、BUAはスコットランドのカレドニアン航空と合併する事になり、同社の主要機材はB707に統一される事となった。1機(G-ASIW)はマラウィ航空、もう1機(G-ASIX)はオマーン王室に売却された。

その後の販売も上手くいかず、1961年ガーナ航空が3機発注(後に2機に変更)するが、輸送量が過剰の為、早々にレバノンのミドル・イースト航空(MEA)に売却している。因みにMEAに売却した機体の内、1機は1968年にベイルート空港でイスラエル軍による攻撃で破壊されている。

最終的にVC10は全ての派生型を含めても僅か64機しか製造されなかった。ライバル機であるB707が1010機、DC-8が556機と製造数に大差を付けられてしまった事から本機は営業的に失敗したと言われている。

原因


・登場が遅すぎた(B707の初飛行は1954年、DC-8は1958年)

・エンジンがリア配置の為、低騒音で燃費の良い高バイパスエンジンを搭載できなかった

・滑走路の拡張工事が進み、短距離離陸性能が求められなくなった


幻の超大型VC10 


大量輸送時代を築いたボーイング747

1970年代にヴィッカース社はVC10の生産ラインを維持するべく、拡大版であるスーパー200とスーパー265を計画した。2つのデッキに265名の乗客を収容し、エンジンはロールスロイス 社製RB178-14ターボファンエンジンを4基搭載する予定だった。しかし、あらゆる面に於いてボーイング747に劣っていた為、計画は中止を余儀無くされた。

VC10給油機 


旅客機からの派生例:DH.106 コメットの派生機ニムロッド対潜哨戒機

1960年、RAFは旅客機タイプのVC10を改造し空中給油機にする計画を採用した。これは主翼の下にエンジンが無い本機は給油ポッドを主翼下に懸架しても給油機がエンジンの排気にかぶる事がない為、給油機として理想的だったのである。

通常型VC10
VC10 K Mk2 (ex V1101→V1112)
スーパーVC10
VC10 K Mk3 (ex V1154→V1164)

改造工事はフィルトンにあるBritish Aerospace社で行われた。
この際ノーマルタイプのVC10(V1112)はエンジンをコンウェイ43に換装した。
また両方ともラムエアタービンを胴体下に格納出来るものに変更した。

引退


低バイパスエンジンに起因する燃費の悪さと騒音問題により本機は1980年代に入ると早々に旅客運用から引退してしまった。しかし、空中給油機に改造されたVC10は後継機のA330に置き換えられる2013年9月25日までイギリスの空を飛んでいた。

共産主義者の従兄弟


本機はエンジンを4機リア配置と言う特徴的な外観だが、世界にはもう1機種瓜二つの外観を持つ飛行機が存在する。それは当時のソ連イリューシン設計局が開発したIL-62である。これは、ソ連のスパイがVC10の設計図を秘密裏に入手していた事が冷戦後明らかになる。西側ではVC10が1980年代には旅客輸送を引退しているが、Il-62は1993年まで製造が続けられた上、現在でも政府要人機として数機が現役である事が確認されている。総生産機数はVC10よりも多い285機と言うのは何とも皮肉である。これは後継機の開発が遅れた事及び広い国土故に未整備の空港が多い事、社会統制が行われていたソ連において騒音は問題と成らなかった為と思われる。

あとがき



旅客機の市場は古今東西、競争の激しい市場である。世界で初めて商用ジェット旅客機を世に出したイギリスであっても旅客機の自主開発は遂に終焉を迎えてしまった。因みに商業的には失敗した本機は意外にもBOAC、RAF双方のパイロットから好評だった様である。如何に先進的な技術を盛り込んでいても売れるとは限らない。市場のニーズや経済性、将来的な拡張性などの様々な要因が折り重なって初めてビジネスとして成り立つ。旅客機の新規開発は極めて険しい道のりなのである。

参考文献


「MODERN CIVIL AIRCRAFT:1 Vickers VC10」
著:Martin Hedley, 出版社:IAN ALLAN, ISBN: 0 7110 1214 8


2020年1月24日金曜日

鉄道乗車レポート イギリス編 第5回 Class395


シリーズ第5回目となる今回は日本の日立製作所が生んだClass395を解説する。
Class395は日立製作所が欧州市場参入への足掛かりとなった車系だ。この車系での成功が無ければ今日の日立レイルヨーロッパは無かったと言えよう。

この車両はHigh Speed 1 (HS1)と呼ばれる高速新線を利用した近郊特急向け車両として開発された。HS1は長年問題になっていたユーロスターの英仏海峡-ロンドン間の所要時間短縮を目的に建設された高規格路線となっている。元々ユーロスターの開業時(1994年)から計画はあったのだが、イギリス国鉄が破綻、民営化されてしまった為、計画は遅れに遅れ開業は2009年まで伸びてしまった。

諸元


車両タイプ:動力分散式近郊型電車
製造メーカ:日立製作所
製造年:2007年〜2009年
編成:6両編成
最高速度:(高速新線) 225 [km/h], (在来線) 160[km/h]
制御方式:IGBT素子VVVF制御インバータ
軌間:1,435[mm](標準軌)

先頭形状



先頭形状は新幹線の設計で得られたトンネル進入時の騒音対策を考慮した設計となっている。しかし、2000年代初頭に欧州で制定された衝突事故を想定した安全基準に合格する為、衝撃吸収ブロックを左右に配置している。

車内インテリア




先頭形状が高速車両を思わせる流線型のフォルムから以前取り上げたClass800の様な長距離特急の様な車内を想像した方も多いかもしれない。しかし、Class395は高速新線を走るとはいえ、あくまで近郊型電車、車内インテリアは最低限の物となっている。第1回で取り上げたClass387に近い装備となっている。

車内表示器



三色LED1段、表示色はClass800のグリーンではなくアンバー。車内表示器は一般的なドア上や妻部ではなく、車両中央の天井に設置されている。

あとがき


今回は日立製作所が欧州市場へ参入するきっかけとなったClass395を取り上げた。高速新線を利用した都市間交通は非常に便利で快適だ。他国から大きく遅れを取ったイギリスの高速鉄道網が今後どの様に発展していくのか楽しみだ。


2020年1月17日金曜日

鉄道乗車レポート イタリア編 第4回 MDVE/MDVC客車


欧州では未だに旧式客車列車が数多く存在していると思っている人は多いかも知れない。しかし、フランスやドイツなどでは電車タイプや新型客車への置き換えにより急激に勢力を失っている。

所変わってイタリアでは在来線の近代化などどこ吹く風、今も旧式の客車列車が幹線からローカル線に至るまで現役で活躍している。
今回は主にローカル線で運用されるMDVE系及びMDVC系客車を紹介する。

諸元


運行会社:トレニタリア
車両タイプ:客車
製造メーカ:Imesi社、Breda社、Sofer社、O.ME.CA社
製造年:1981年〜1985年(MDVE)、1980年〜1990(MDVC)
最高速度:160 [km/h]
軌間:1,435[mm](標準軌)


MDVE系客車



後述のMDVC系と編成を組んで運用される。完全切妻形車体で天井部がスッキリとした外観になっている。ドアは外吊り片開きタイプのドアが片側2箇所設置されている。
また、車端部にはトイレや乗務員室が設けられている。

MDVC系客車



基本的な構造はMDVE系に準じた設計となっているが、ドアが両開き低床構造となっている。客室の高さはそのままにドア付近のみ低床となっているので車内に段差が存在するのが特徴。
また、この車系の特徴としてMDVE系には無い片側に運転台を設けた制御客車が存在する。

制御客車


制御客車タイプ
制御客車(平面)タイプ
MDVC系の制御客車は流線形タイプと貫通扉を備えたタイプの2種類が存在する。どちらも編成の端部に連結され、反対側に連結された機関車の制御が可能である。その為、折り返しをする駅等で機関車の機回しをせずにすむ。イタリアでは阪急電鉄梅田駅の様な行き止まり構造の駅が多い為、非常に便利な車両だ。

車内設備



車内設備はMDVE系、MDVC系共に共通である。
2-2配列の全席固定式クロスシートとなっている。座面は手入れが施しやすい様にレザー調に仕上げてある。窓側に設けられた白い箱はゴミ箱となっている。思えば日本も国鉄時代の客車は同様に灰皿が設置してあった。


トイレ



残念ながらトイレ内部をお見せする事は出来ないが、日本では絶滅した垂れ流し式のトイレとなっている。写真の丸印のパイプから汚物を外に排出する。列車が橋の上を走行していた場合、当然下に歩いてる人や車に降ってくるので鉄道橋の下は素早く通過した方が良いと個人的には思う。

牽引機


E464形電気機関車
D445形ディーゼル機関車

 牽引機は電化路線の場合はE464形等の電気機関車、非電化路線の場合はD445形等のディーゼル機関車が担当する。

あとがき


たまには時間を忘れて客車列車の旅などは如何だろうか。最新の列車に比べれば速度も快適性も劣るが、ゆったり流れる車窓の風景を眺めながら旅をするのも乙である。


2020年1月15日水曜日

Ryanair B737-800 機内レポート


格安LCCは日本でも一般となりつつあるが、LCCビジネスが世界中に広がった草分け的存在であるアイルランドの航空会社ライアンエアーを紹介する。

同社は他のLCCと同じく徹底的なコストカットにより低価格な運賃を提供している。ただし、スタンダード運賃に含まれるのは機内手荷物1点のみで、受託手荷物などは有料となっている。また、預け手荷物や優先搭乗などのオプションをセットにしたPriorityと呼ばれるチケットもある。これら付加料金と機内販売が同社の主な収入源となっているのだ。

空港に行く前に


オンラインチェックインと航空券の印刷を事前にする必要がある。

オンラインチェックインは4日前から可能で、空港でチェックインをする場合ペナルティ€55を支払わなくてはいけない。また、EU圏外の乗客は路線により空港で職員にビザチェックをして貰う必要があるので航空券を紙に印刷をする必要がある。

ビザチェックとは
搭乗者が入国審査で入国を拒否された場合、同社は出発国に搭乗者を送還する必要があるのでこれを未然に防ぐ為に同社が独自に行ってる確認作業。航空券の上にサイン若しくはスタンプを押される。基本的にシェンゲン条約加盟国間のフライトでは必要ない様だ。知っている方も多いと思われるが、シェンゲン条約加盟国とEU加盟国は異なる。因みにイギリスはシェンゲン条約に加盟していない。

搭乗



受託手荷物の預け方法及び出国審査は他の航空会社と何ら変わりは無い。搭乗ゲートにつくとNON PRIORITY←→PRIORITYと書かれた看板がある。これはPriorityチケットの乗客には優先搭乗のサービスがあるからだ。


搭乗時間が近づき、いよいよ搭乗開始となると乗客らは徒歩若しくはバスで飛行機の駐機場に向かう。LCCにボーディングブリッジなどは必要無いのだ。搭乗は機体左側の前後2つのドアから同時に行う。

シート



シート配列:3-3の1列6席配置
シートピッチ:30インチ

リクライニング機構無し、シート生地は手入れのし易い本革仕様と言ったLCCの標準仕様。シートピッチは他社のLCCで採用されている29インチよりも広い30インチとなっている。これは憶測だが、体格が大柄な人が多い欧州の事情も考慮しての事だと思う。アジア人の体格からして見れば足元は苦では無い。

機内サービス


機内販売があり有料の機内食も日本のLCCと比べるとバラエティーが豊富に取り揃えている。機内雑誌が無い為、メニューが欲しい場合はCAに確認するか、公式HPに掲載されているメニューを事前に調べておく必要がある。

ライアンエアー機内販売カタログ (※他サイトに飛びます)

あとがき



ライアンエアーは安く便数も多い為、非常に便利だが現地ではあまり評判はよろしく無い。これは他のLCCにも言える事だが遅延が日常的に起こっている為だ。
筆者は被害に合った事は無いが、スペイン人の友人がイギリスに帰る際に乗った飛行機では離陸前のタキシング中に機体に不具合が発生し、機材変更のため4時間以上待たされたらしい。
しかし、シートピッチの広さと機内食の豊富なラインナップの2点において今まで搭乗したLCCよりも良いサービスもあると感じた。空の新たなビジネスモデルを切り開いた同社は欧州の地において庶民の足となっている。



2020年1月7日火曜日

鉄道乗車レポート イタリア編 第3回 ETR675


イタリア編も今回で3回目となります。今回取り上げる車両は第1回で取り上げたイタリアの私鉄NTV社の新型車両ETR675電車。EVOの愛称が与えられている。

イタリア編 第1回 ETR575

イタリア編 第2回 ETR500

最新型ではあるが、最高速度は第1回で取り上げたETR575電車(360km/h)よりも遅い250km/h。編成中の車両も7両と短い。これはETR575を置き換える事が目的の車両ではなく、ETR575では過剰スペックになってしまう在来線を走る路線にNTV社が参入する為だ。

この列車はETR575と同じくアルストム製だが、フランスで造られた訳では無い。2000年、アルストムに買収されたフィアット鉄道部門の工場で造られたMade in Italyだ。旧フィアット社では山岳地帯を高速で走る為、振り子装置を搭載したペンドリーノシリーズを製造していた。このETR675はペンドリーノの流れを組む車両だが、振り子装置は搭載していない。前面形状こそ異なるが、車体及び車内のレイアウトは国鉄のETR600をベースにしている。

ベースとなったETR600電車
床下機器は振り子式車両特有の斜めに窄んだデザイン

諸元


運行会社:NTV社
車両タイプ:動力分散式高速列車
製造メーカ:アルストム社(旧フィアット)
製造年:2015年〜2016年
編成:7両編成
最高速度:250 [km/h]
軌間:1,435[mm](標準軌)

車外表示器



車外表示器は三色LED4段。各ドアに設置されている。
表示内容は上段から列車番号、出発駅、終着駅、号車、各駅の到着時刻となっている。

車内インテリア



一等にあたるPrimaの車内。座席配置は基本的にETR575と変わらない2-1の集団見合配置だが、車体断面が振り子式車両特有の紡錘状に上下を絞る構造のため狭く感じる。

シートは本体色やヘッドレストの有無、皮生地のストライプなど細部は異なるが基本的にイタリア国鉄のETR600電車の一等車と同一である。
シートのデザイン以外にも室内灯やLCD車内表示器、机に至るまでETR600との共通点は多い。



他者様のサイトですが、ベースとなったETR600電車の車内に関する記事が有りましたのでご紹介させて頂きます。
http://www.trainfrontview.net/eu/he.it600.htm (※外部サイトに飛びます)

あとがき


今回乗車したETR675は第1回及び2回で紹介した高速新線を300km/hで爆走する高速列車とは異なり、車内の雰囲気や運行形態も含め日本で言う所の在来線特急の様な印象を受けた。振り子装置は恐らく同車系にも搭載は可能なのだろうが、メンテナンス費用などを考慮した上で効果が薄いと判断されてしまった事は残念だ。


2020年1月6日月曜日

鉄道乗車レポート イタリア編 第2回 ETR500


イタリア編第2回目はトレニタリア (旧イタリア国鉄)の看板特急ETR500電車を紹介します。

イタリア編第1回はコチラ

トレニタリアの運行する高速列車は2つのブランドがある。一つは高速新線を利用した最速達列車Frecciarossa(赤い矢)、今一つは振り子式車両を用いた在来線での高速列車Frecciargento(銀の矢)と呼ばれている。

ETR500はFrecciarossaとして高速新線を時速300km/hで走る事を目的とした列車である。営業開始は1995年(日本で500系新幹線が営業運転を始めたのが1997年)で、第1回で取り上げたETR575や後継のETR400電車が登場するまで長らくイタリア最速列車の地位にいた。

後継のETR400電車

ETR500は3つのタイプの営業列車がある。
・ETR500 初期車(直流電化タイプ)
・ETR500 (交流・直流両対応タイプ)
・ETR F 500 (フランス乗入れタイプ)

現在、Frecciarossaとして営業運転をしているのは交直対応タイプのみ。これはイタリアの高速新線が最初に建設された区間は在来線と同じ直流電化だった為、初期車は直流にしか対応していなかった。しかし直流電化は在来線の電車がそのまま乗入れる事が出来る反面、直流電化は大電流を必要とする高速列車には向いていなかった。日本の新幹線を含む世界中の高速列車が交流電化を採用している。
以降、イタリアで建設された高速新線は交流電化となった為、初期のETR500は客車を交直タイプのETR500に明け渡し現在は在来線で旧型客車を牽引している。


InterCityを牽引するETR500初期車
編成の反対側は制御客車

因みにフランス乗入れ編成はフランス乗入れ計画そのものがフランス国鉄の労働組合により破綻してしまった為、トリノオリンピックの臨時列車に使用された後は検測車及び通常のETR500に戻す改造を受けて形式が変更されている。

諸元


運行会社:トレニタリア 
車両タイプ:動力集中式高速列車
製造メーカ:Trevi
製造年:直流1992-2007、交・直流2000年〜
編成:機関車2両+客車12両 (2019年時点)
最高速度:360 [km/h]
軌間:1,435[mm](標準軌)

外観



車両のデザインは試作車から最終量産車までイタリアを代表するスポーツカーFerrariのデザインを担当している老舗デザイン会社ピニンファリーナによるもの。

車内インテリア



ETR500の座席種類は5種類。
二等席以外は食堂車営業時に利用する事ができる。

・エグゼクティブ:最上級クラス、駅でのラウンジ利用可
・エグゼクティブ個室:1編成2部屋しか無いプレミア席、ラウンジ利用可
・一等:ドリンクサービス有
・二等プレミアム:ドリンクサービス有
・二等:サービス無、食堂車利用不可

今回は一等席を紹介する。

座席



欧州で一般的な集団見合配置だが、中央2列シートのみコンパートメントとなっている。
シートは本革製、電動リクライニング機構付き。座面が沈み込むクレイドル式となっている。リクライニング角は115°。また、机には電源コンセントと窓のシェードを動かす為のスイッチが設けられている。

肘掛に電動リクライニング機構のスイッチがある

車内表示器



車内表示器は欧州でも近年増加中のLCD車内表示器。車端部だけでなく車両中央部にも設置されている。運行情報やニュース、広告等の表示は日本と変わらないが、飛行機の様に地図上の走行位置及び速度表示が表示される。


ドリンクサービス



一等車に乗車の際はウェルカムドリンクのサービスがある。お好きなドリンクとお菓子を頂く事ができる。また、イタリア語しか無いが新聞の提供も行っている。

あとがき


今回は乗車時間が短かった為、急ぎ足となってしまったが、次回乗車した際に食堂車のレポートなどの追加レポートを行いたいと考えています。