2020年1月17日金曜日

鉄道乗車レポート イタリア編 第4回 MDVE/MDVC客車


欧州では未だに旧式客車列車が数多く存在していると思っている人は多いかも知れない。しかし、フランスやドイツなどでは電車タイプや新型客車への置き換えにより急激に勢力を失っている。

所変わってイタリアでは在来線の近代化などどこ吹く風、今も旧式の客車列車が幹線からローカル線に至るまで現役で活躍している。
今回は主にローカル線で運用されるMDVE系及びMDVC系客車を紹介する。

諸元


運行会社:トレニタリア
車両タイプ:客車
製造メーカ:Imesi社、Breda社、Sofer社、O.ME.CA社
製造年:1981年〜1985年(MDVE)、1980年〜1990(MDVC)
最高速度:160 [km/h]
軌間:1,435[mm](標準軌)


MDVE系客車



後述のMDVC系と編成を組んで運用される。完全切妻形車体で天井部がスッキリとした外観になっている。ドアは外吊り片開きタイプのドアが片側2箇所設置されている。
また、車端部にはトイレや乗務員室が設けられている。

MDVC系客車



基本的な構造はMDVE系に準じた設計となっているが、ドアが両開き低床構造となっている。客室の高さはそのままにドア付近のみ低床となっているので車内に段差が存在するのが特徴。
また、この車系の特徴としてMDVE系には無い片側に運転台を設けた制御客車が存在する。

制御客車


制御客車タイプ
制御客車(平面)タイプ
MDVC系の制御客車は流線形タイプと貫通扉を備えたタイプの2種類が存在する。どちらも編成の端部に連結され、反対側に連結された機関車の制御が可能である。その為、折り返しをする駅等で機関車の機回しをせずにすむ。イタリアでは阪急電鉄梅田駅の様な行き止まり構造の駅が多い為、非常に便利な車両だ。

車内設備



車内設備はMDVE系、MDVC系共に共通である。
2-2配列の全席固定式クロスシートとなっている。座面は手入れが施しやすい様にレザー調に仕上げてある。窓側に設けられた白い箱はゴミ箱となっている。思えば日本も国鉄時代の客車は同様に灰皿が設置してあった。


トイレ



残念ながらトイレ内部をお見せする事は出来ないが、日本では絶滅した垂れ流し式のトイレとなっている。写真の丸印のパイプから汚物を外に排出する。列車が橋の上を走行していた場合、当然下に歩いてる人や車に降ってくるので鉄道橋の下は素早く通過した方が良いと個人的には思う。

牽引機


E464形電気機関車
D445形ディーゼル機関車

 牽引機は電化路線の場合はE464形等の電気機関車、非電化路線の場合はD445形等のディーゼル機関車が担当する。

あとがき


たまには時間を忘れて客車列車の旅などは如何だろうか。最新の列車に比べれば速度も快適性も劣るが、ゆったり流れる車窓の風景を眺めながら旅をするのも乙である。


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