2019年12月22日日曜日

鉄道乗車レポート イタリア編 第1回 ETR575


芸術と美食の国イタリア。ブーツのような形をしたイタリア半島は主要な都市が一直線上にある為、鉄道による都市間交通が盛んなエリアだ。このシリーズではそんなイタリアを走る個性的な列車達を紹介していく。

第1回目はイタリア国鉄の民営化後のオープンアクセス制度を利用して旧国鉄のトレニタリア に殴り込みを入れた新興会社NTV社のフラッグシップであり、イタリア語で「イタリアの」を意味する「Itaro」のブランド名で知られるアルストム社製ETR575を紹介。

ETR575形はアルストム社が次世代TGVとして開発したAGVをベースとした列車で、様々な国へ乗り入れる事を前提として開発された列車だ。お膝元のフランスでは車両が高価な上、二階建てのTGVに比べ定員数で劣る為、採用が見送られてしまったが、現在はイタリアの大地を縦横無尽に走り回っている。将来的には国際列車の構想もある。

諸元


運行会社:NTV社
車両タイプ:動力分散式高速列車
製造メーカ:アルストム社
製造年:2008年〜
編成:11両編成(連接構造)
最高速度:360 [km/h]
軌間:1,435[mm](標準軌)

車内インテリア


Primaの車内

座席は最上級クラスのClub、一等車にあたるPrima、二等車にあたるSmartの三等制を取っている。日本で言う所のJR東日本のグランクラス、グリーン、普通車に似た扱いである。尚、イタリアの特急列車は一部の国際列車を除き全て全席指定制である。その為、ユーレイルパスなどの乗り放題チケットを持っていても事前に座席の指定が必要だ。因みにイタロはユーレイルパスで乗車する事はできない。

シート




Primaの座席は2-1の集団見合配置、シートは本革製でポルトローナ・フラウと言う老舗ブランドを採用している。同社は職人が厳選した皮製の家具を長年作り続けて来た事で有名で、現在は世界各国の航空会社のファーストクラスやビジネスクラスを監修している。

リクライニング機構は座面が前に迫り出すタイプの為、座席を倒しても前の座席の背ずりが後席を圧迫する事は無い。各席に欧州(英国を除く)で一般的なCタイプのコンセントが設置されており、電圧は220V。また、足元に小さいながらゴミ箱も設置されている。

車内サービス



Club及びPrimaの車内では、飛行機の様なドリンクとお菓子のサービスがある。因みにコーヒーは一杯ずつ豆から抽出する本格仕様。食にには全力を注ぐイタリアのこだわりが感じさせられる。お菓子はクッキーやタラーリ等から選べます。タラーリとはイタリア南部の伝統的な固焼きパンのこと。イタリアではお酒のおつまみとして一般的。

イタリアの鉄道について



遅延が日常的なイタリアンタイムや旧式の客車列車が一般的なイタリアの鉄道は時代遅れだ等と言われる事もある。イタリア人の友人らは1980年代で止まってるなどと評していた。しかし、各都市を結ぶ高速列車は非常に快適で、時間も正確になって来ている。英国と比較すると幾分も近代的なシステムだと感じた。

また、イタリアの鉄道は運賃が非常に安い事は旅行者にとって非常に嬉しい。今回乗車したミラノ-フィレンツェ間は€37.9(約¥4,500)に対し同程度の距離である東京-名古屋間をグリーン車で移動した場合、¥14,960円もする。しかも、新幹線のグリーン車では無料のドリンクサービスは現在行われていない(かつて東北新幹線などで行われていた例あり)。

総括


TGV系列の車両ときいて、最初は昨年乗車したClass 373の様に狭い車内と絶え間ない横揺れを警戒していたのだが、ETR475は揺れも少なく清潔感があり非常に快適な移動を提供してくれた。


0 件のコメント:

コメントを投稿