鉄道発祥の国イギリス、そこには鉄道の黄金期を築いた往年の蒸気機関車達が今尚動く姿を見せてくれる。今回はそんな蒸気機関車の牽引する特別列車を追ったエピソードを時系列で紹介する。
イベント列車
イギリスでは動態保存されている蒸気機関車を用いたイベント列車が度々行われている。夏休みのシーズンに最も多く開催されるが、本格的な冬が訪れクリスマスが近づく11月〜12月にかけて再び活気を帯びてくる。
これらのイベント列車は、観光のみを目的とした保存鉄道と違い本線上を営業列車の合間を縫いながら運行される為、現役当時さながらの迫力のある走りを見る事が出来るのが売りだ。その為、乗車券は一ヶ月前には売り切れてしまう程のプレミアチケットだ。
動く博物館
イベント列車を牽引する蒸気機関車の多くは戦間期から戦後に製造された車歴80年近い機関車が担当する為、故障とは無縁ではいられない。特に当時使用されていた部品はリベット接合など現在では失われた技術を用いている為、一度故障をすると長期間修理に出される事も珍しく無い。
今回取材を行った2019年も蒸気機関車の故障の為ディーゼル機関車によって代走する日が何回か起こっていた。
運行情報
イギリスの鉄道会社は上下分離方式かつ列車の運行会社が乱立している為、今回のようなイベント列車も企画・運営する会社が何社か存在する。従ってイベント列車の情報を掴むには専門の情報サイトを活用すると便利だ。
・RAIL ADVENT:イベント列車や鉄道系ニュースの配信を行っている情報サイト
(https://www.railadvent.co.uk)※他サイトに飛びます
運行会社がネット上に公開している情報は停車駅の到着時刻と出発時刻のみで、通過駅の通過時刻や使用するホームの番号などは書かれていない。通過駅で写真を撮りたい場合、列車のリアルタイムの運行情報が分かるサイトを利用する。
・Realtimetrains
(https://www.realtimetrains.co.uk/search/)※他サイトに飛びます
・TrackIT
(https://trackit.uppyjc.co.uk/TrackIT/Forms/LocationSearch.aspx)※他サイトに飛びます
飛行機撮影でお馴染み「Flight Rader 24」の鉄道版と思って頂けると飛行機撮影家の方々は分かりやすいのでは無いだろうか。飛行機の場合は飛行機に搭載しているATCトランスポンダから発する電波を受信して位置情報などを知る事が出来るが、鉄道の場合は車上子と地上子で列車番号をやり取りする事によって得た在線状況(列車位置)を覗く事で知る事が出来る。
White Rose追跡作戦
2019年12月14日、Christmas White Roseと命名された2つの列車がロンドンのキングズクロス駅とイングランド中部にあるドリッジ駅からヨークに向けて運行された。
ロンドン便を担当するのは2008年に新造されたLNER社 Class A1 No.60163トルネード
ドリッジ便を担当するのは1950年に製造されたGWR社 Castle class No.7029 クランキャッスル
この情報を掴んだ筆者は同日朝、東海岸本線の特急に乗り込み一路ヨークを目指した
11:45
ヨーク駅1番線ホームからブリドリントン行のローカル列車に乗り込んだ
11:56
列車は定刻通りチャーチフェントン駅に到着した
一つは非電化区間の為、開放感のある写真を撮る事が出来る。
もう一つはヨークからほど近い分岐駅の為、停車する列車の本数が多い事だ。
実は、この駅とヨーク駅の間はUlleskelfと言う小さな駅がある。しかし、停車する列車が殆ど無い為、交通の便は悪い。また、Ulleskelfとヨークの間には東海岸本線が合流するColton Junctionと言う有名な撮影スポットがあるが、車でないとアクセスできない。
12:15
恐れていた事態が訪れた
今まで小雨だった天気が急変、ゲリラ豪雨と化したのである
13:11
事前の運行情報通りWhite Roseは3番ホームに滑り込んだ
予定通りでは無かったのは大粒の雨と遅れていたヨーク行きの営業列車が White Roseがホームに入線するタイミングと被ってしまった事だけだった。
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