百里基地は関東地方の守りとして茨城県の中央に位置している。都心からのアクセスも自家用車やバイクがあれば便利な為、近年では航空撮影家だけでなく家族連れで訪れる人が増えている。かつては航空自衛隊の基地としての機能しか持ち合わせていなかった百里飛行場だが、2010年より民間との共用がスタートし、茨城空港としても知られるようになった。
また、2020年での引退が決まっている航空自衛隊所属F-4(ファントムⅡ)戦闘機の配備基地としても有名だ。ファントムⅡは1960年に開発された第三世代ジェット戦闘機で既に開発されてから60年が経過している為、導入した西側陣営では新しい世代の戦闘機への置き換えが進んでいる。その為、現役のファントムⅡを一目見ようと海外から訪れるファンもいる。
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F-4EJ改 |
滑走路は南北に2,700m×2本が並行配置されており、滑走路の東側に航空自衛隊の百里基地、西側に茨城空港のターミナルがある。自衛隊機は基本的に基地に近い東側の滑走路を使用するが、東側滑走路が使用中の場合などは西側の滑走路を使用する事がある。飛行場西側は撮影スポットが多い為、西側滑走路を使用する際は絶好の撮影機会となる。
フライトの大まかな流れ
当然のことだが、旅客機と異なりいつフライトがあるかは公表されていない。ここではフライトが午前2回、午後2回の一般的な流れを紹介する。それぞれのフライトで飛ぶ部隊を分かり易くする為「〇Sq」(Sq : Squadron)と仮称する。
※土日祝日、祝日と休日に挟まれた平日、年末、年度末、地元高校の入学試験日などは緊急の場合を除き基本的にフライトはない。
1. 08:00- 朝一番のフライト(①Sq)
2. 10:00 ①Sqの帰投、②Sqの離陸
3. 12:00-12:30 サイレントタイム(フライトが無い時間帯)
4. 12:30- ➁Sqの帰投と③Sqの離陸
5. 15:00 ③Sqの帰投と④Sqの離陸
6. 日没前 全ての部隊が帰投
+α ナイトフライト (月曜若しくは火曜日に行われる夜間飛行訓練)
大まかには1~6の流れだが、訓練の内容によって時間が前後したり、フライトが増減する。他基地から部隊が来ている際はフライトの数が多いため、基地上空はまるで航空祭に来たかのような賑わいを見せる。フライトを待つ際は航空無線に耳を傾けながら格納庫前で動きがあるか適時チェックする事が望ましい。
F-4 カラーバリエーション
以前、偵察機仕様のRF-4EやRF-4EJが飛んでいた頃は、低空を飛ぶ偵察と言う任務の性質上、迷彩塗装を施した機体を見ることが出来た。2020年現在では年度末にF-4の完全引退を控える第301飛行隊の2機が特別塗装を身にまとっている。
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RF-4E (森林迷彩) |
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RF-4E (洋上迷彩) |
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RF-4EJ (ヨーロピアン・ワン迷彩) |
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F-4EJ改 (第302飛行隊 通常塗装)
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F-4EJ改 (第302飛行隊 特別塗装 白) |
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F-4EJ改 (第302飛行隊 特別塗装 黒) |
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F-4EJ改 (第301飛行隊 通常塗装) |
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F-4EJ改 (第301飛行隊 特別塗装 黄) |
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F-4EJ改 (第301飛行隊 特別塗装 青) |
撮影スポット紹介(仮)
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滑走路03Rに進入するF-4EJ改 (アラート・ハンガー前) |
人口密集地から離れている為、撮影環境は非常に恵まれている。以前は陸の孤島とまで言われていたが、茨城空港のターミナルや空のえき「そ・ら・ら」の開業によって食事など利便性は増してきている。
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準備中
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※随時追加予定、暫くお待ちください
撮影に関して注意事項
近年、ファントムの引退と相まって同基地を訪れる人が急激に増えたため、近隣住民や基地に迷惑がかかる事態が増えている。この記事をみて百里に行きたいと考えた人は是非マナーを守って紳士的な行動を心がけて欲しい。
- 私有地、駐停車禁止の道路で駐車しない
- 私有地、制限区域内に入らない
- 脚立や三脚などを置いて離れない(目の届く範囲にいる事)
- 飛行場外周の柵を超えない、触らない
- 撮影場所は譲り合い、独占しない
当たり前の事ではありますが、5つの「しない」を上げさせて頂きました。どうしても数が増えるとマナーを守れない人が出てきてしまいます。自分が撮りたい画を求める気持ちは分りますが、一度基本に立ち返って自分の行為が迷惑行為になっていないか考えてください。
百里基地広報資料館
百里基地正門横にある広報資料館では百里基地の歴史や装備品の展示を行っている。資料館は限定公開の為、基地のホームページで募集があった場合のみ入ることが出来る。募集方法等は基地の公式ホームページを確認して欲しい。
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1976年9月6日に起こったベレンコ中尉亡命事件の際、 彼が乗って来たMiG-25の解析を行ったのが百里基地だった 機体はソ連に返却した為、当時の基地司令が 百里基地が果たした役目を後世に残す為銘板を作成した |
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F-4EJ改に装備されている20mm機関砲
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F-4 主脚ブレーキ
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通信パネル(左)、航法パネル(右)
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操縦桿(上)、右翼灯(左下)、尾灯(右下)
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河野元防衛大臣のヘルメット |
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F-4 コックピットモックアップ |
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操縦席からの視界
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F-4用ドラッグシュート
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雄飛園
広報資料館の横に隣接する雄飛園は週末を含め日本国籍であれば誰でも見学する事が可能だ。基地正門で書類に記入することで見学できる。ここにはかつて同基地で活躍した機体が8機展示されている。
見学可能時間:09:00~16:00
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三菱 F-1 (T2高等訓練機をベースにした支援戦闘機 2006年引退)
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RF-4E (当初から偵察機として設計された機体 機首の機関砲が無くカメラが装備されているのが特徴 14機がアメリカから輸入されたが、現存するのは本機のみ) |
雄飛園へのアクセス
正門前に駐車場有
正門で受け付け後、徒歩で移動
百里基地航空祭
例年では11月末若しくは12月初旬に開催される。2020年は航空観閲式の舞台として同基地を使用する計画であったが、COVID-19パンデミックの影響により百里での開催は中止、入間基地において規模の縮小及び無観客で行う事となった。
写真は2016年のもの。当時は基地内の駐車場が利用できたが、飛行場周辺の道路混雑が問題となった為、現在では大洗等の駐車場からシャトルバスで会場入りする方式に変更された。
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RF-4EJ (F-4EJを偵察機に改造した機体。手前にある偵察ポットを装備する) |
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J79-IHI-17 (F-4EJ,RF-4E搭載エンジン)
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RF-4E (洋上迷彩) |
空のえき「そ・ら・ら」
2014年7月28日に開業した複合型商業施設。ご当地野菜等の直売場は勿論、レストランや特産品店が軒を連ねている。敷地内に工場を併設したヨーグルトハウスでは2020年11月24日まで期間限定でパッケージにF-4EJ改 特別塗装機を描いた「オミタマヨーグルト・ファントムパッケージ(130ml,150円)」を発売中。
空のえき「そ・ら・ら」へのアクセス
あとがき
今回はLast Phantom Squadronとして注目を集めている航空自衛隊 百里基地を紹介させて頂きました。筆者が初めて同基地を訪れたのは5年以上前になりますが、年々遠方からも訪れる人が増えていると感じます。百里基地は非常に恵まれた撮影環境がある場所ですので、新しく来た人も今まで撮っていた人もお互いに良い関係を築いて守っていく事が大切だと思います。
次回投稿予定日
2020年11月27日(金)
百里基地撮影スポット紹介①
公式ホームページ
百里基地 | 防衛省 [JASDF] 航空自衛隊
参考文献
- 「Jウイング 2015年5月号」出版社:イカロス出版、雑誌15175-05
- 「Jウイング 2020年2月号」出版社:イカロス出版、雑誌15175-02
- 「ヒコーキ写真テクニック 2018冬」出版社:イカロス出版、ISBN978-4-8022-0461-3
- 「全国空港ウォッチングガイド」出版社:イカロス出版、ISBN978-4-8022-0192-6
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