2020年11月2日月曜日

さらば「トリプルセブン」デルタ航空 B777型機 完全引退


COVID-19パンデミックは航空業界に過去に例の無いほどの打撃を与えた。先日、ブリティッシュエアウェイズ がB747を全機引退させた事は記憶に新しい。

2020年10月、アメリカのメガキャリアの一つであるデルタ航空はボーイング777型機(以下777)を全機引退させた。10月31日、8777便ニューヨーク発ロサンゼルス行き5時間30分のフライトをもって約20年間に及ぶ同社の777時代に幕を下ろした。

写真提供:デルタ航空

777のローンチカスタマーであったデルタ航空は世界に先駆けこの飛行機を運用した航空会社の一社だ。航空業界に革命をもたらしたこの革新的な飛行機は1999年3月23日、デルタ航空のフリートに加わった。ボーイングとの契約金額は約14億ドルにも及ぶ。

写真提供:デルタ航空

初フライトは1999年5月1日のアトランタ発ロンドン行きであった。長距離路線に投入される777-232のキャビンは2-2-2配置のビジネスエリートと個人モニター、ヘッドレスト、ランバーサポート、フッドレストを備えたエコノミークラスで構成されていた。
777が提供する快適で静かなフライトはビジネス利用客に好評を博した。

B777-200LR「N702DR」成田空港 2018年4月撮影

2008年、アメリカの航空会社で初めて世界最長の航続距離をもつ777-200LRを導入した。
キャビンは2クラス制276席。特に44席のビジネスエリートは過去に無い程の快適な空間を提供した。同社で初めてフルフラットシートをゆとりのある1-2-1配列で提供した。
-200LRはその航続距離を活かし、日米路線の他、アトランタ-ヨハネスブルク間やロサンゼルス-シドニー間などの長距離路線で使用された。

写真提供:デルタ航空

2018年には在籍する18機全ての777に対し延命工事とシートの一新を行った。新しいキャビンレイアウトではシートを「デルタ・ワン スイート」、「デルタ・プレミアムセレクション」、「デルタ・コンフォートプラス」、「メインキャビン」の4クラス制にして様々なニーズに対応した。
リニューアル機材は2019年3月から大西洋路線や日米路線に導入されたばかりであった。

デルタ・ワン スイート
写真提供:デルタ航空

デルタ・プレミアムセレクション
写真提供:デルタ航空

デルタ航空上級副社長のJohn Laughter氏は「777はデルタ航空がビジネス利用客にとって特別な航空会社となり、我々のレベルを国際市場に押し上げたワークホースであることは疑いようがない」と語っている。

・ラストフライト



・機体情報


機体番号:N701DA
型式:777-232/LR
ライン番号:697
製造番号:29740
登録:2008年2月

写真提供:デルタ航空


日本へのラストフライト


(※画像をクリックするとデルタ航空のニュースサイトに飛びます)

2020年10月27日、デルタ航空は10月31日に予定される777の完全引退に先立ち、日本発のラストフライトは10月30日になると同社ホームページで発表した。往路はアトランタ発羽田行き、復路は羽田発ロサンゼルス行きの貨物専用便であった。


筆者は10月29日にアトランタから飛来する777-200ERを撮影する為、羽田空港を訪れていた。その際の模様をお送りして今回の記事を締めくくろうと思う。

予定時刻より30分ほど遅れて羽田の空に姿を現した

・機体情報


機体番号:N862DA
型式:777-232/ER
ライン番号:235
製造番号:29734
登録:1999年12月

A滑走路34LへとアプローチするN862DA

13:16、滑走路34Lに着陸した

スラストリバーサーを展開し減速中

羽田空港第3ターミナル114番ゲートへタキシング中


あとがき



COVID-19による航空需要の長期的な低迷で世界中のエアラインで機材整理が行われている。日本も例外ではなく、ANAは長距離機材を中心に約30機の追加削減を行うと発表している。詳細な機数は現時点で非公表だが、777シリーズ(-300ER、-300、-200)から22機を引退すると公表されている。

また、JALも保有する777の内、国際線仕様の-200ER(11機)を2020年末までに一部国内線に転用する以外は引退。残る国内線向け-200に関しても2022年度までに引退する予定である。現時点では国際線仕様の-300ER(13機)の処遇は明らかにされていない。

日本全国で見られた777シリーズが数を減らしていく状況は最早避けられない事態となっている。


次回投稿予定日


2020年11月6日(金)
「世界最大級の鉄道博物館 | ヨーク鉄道博物館(National Railway Museum) 後編」


参考サイト




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