2020年12月11日金曜日

北風運用の定番ポイント | 百里基地 アラートハンガー前

 

アラートハンガー前では午後に滑走路を離着陸する機体を順光で撮影することが出来る

前回まで百里飛行場の北側エリアにある撮影スポットを紹介してきた。今回紹介するのは飛行場の南側エリアにある撮影地だ。前回紹介した北門とは茨城空港のターミナルを挟んで反対側に位置する。



何故、この撮影地が航空ファンの間でアラートハンガー前(通称アラハン)と呼ばれるのかと言うと、撮影地から並行する2本の滑走路を隔てて反対側(東側)にアラートハンガーを目視する事が出来る為だ。

アラートパットと呼ばれるこのエリアはメインハンガーのある基地中央から離れており、対領空侵犯措置のスクランブル発進に備えて滑走路端に近い位置にある。この格納庫内には常時2人ペア2チームのパイロットと整備員、ディスパッチが待機している。


アラートハンガー

視線を管制塔などがある基地中央方面に移すと何やら大きな煙突にF-4 ファントムⅡ戦闘機が刺さった建物が見える。この建物は搭載するエンジンのテストを行う施設だ。エンジンテストの際は煙突から白い煙が天に向かって伸びてく様子を見ることが出来る。


エンジンテスト施設


撮影の流れ



前回紹介した北門は滑走路が見える場所が限られている為、混雑時は離れた位置から撮影する必要があったが、アラートハンガー前では飛行場のフェンスに沿って未舗装の道路が走っている為、混雑していても滑走路に近いポジションを確保する事が出来るのが魅力だ。


離陸


撮影地からは基地全体が見渡せるため、格納庫前の駐機場で発進準備をする様子を観察できる。その為、離陸時にシャッターチャンスを逃す危険性は低い。とは言うものの、駐機場は撮影地から距離が離れているので肉眼では確認しづらい。なので、双眼鏡等があると基地内での動きを把握しやすい。

駐機場からタキシング

アーミングエリアで離陸前チェック

滑走路にラインアップ

エンジンチェックの後、離陸


着陸


着陸は航空無線を頼りに待機する事になるが、周囲が開けている為、滑走路にアプローチする機を早い段階から確認できる。


R/W03Rにファイナルアプローチ中のRF-4E

メインギアの接地

ドラッグシュート投下

ドラッグシュート展開



・迫力のウエストランウェイ降り



北門同様、西滑走路(R/W03L)を利用する際は迫力の着陸シーンを見ることが出来る。但しR/W03Lに着陸する機体を正面から撮ろうとすると機体は南から進入して来る為、日中は逆光となる。


逆光条件で撮影したRF-4E


・旅客機を撮るにも最高のスポット



茨城空港を利用する旅客機は基本的に西滑走路を利用する為、ターミナルを出発した機体が目の前の滑走路をタキシングしていく。空港側(西側)には並行誘導路が無い為、滑走路端までタキシングした後に180度方向転換を行って離陸する。

RF-4EJとの大きさ比較、A320が大きく感じる

R/W03Lへタキシング中のイースター航空B737-800(HL8058)

滑走路端で方向転換中


ここで撮れた作品


朝陽を浴びるRF-4EJ

RF-4E(洋上迷彩)

基地上空を編隊飛行する小松基地第306飛行隊所属のF-15





第3飛行隊のF-2


撮影に関して注意事項(再喝)


以前、百里基地紹介記事でも注意喚起をさせて頂いたが、現在多くのカメラマンが百里基地に押し寄せたことによって近隣住民から基地への苦情が増えている。その為、百里基地公式Twitterでも注意喚起を促している。



百里飛行場は成田空港の様に飛行機を撮ったり眺める為の駐車場や公園の整備は進んでいない。その為、多くの人が車で押しかければ周辺住民に迷惑をかけてしまう危険性が高い。

もし、これから百里基地に行かれる方がいるようであれば、自分たちの行為が周りの迷惑になっていないか今まで以上に注意をして欲しい。現在の様な状態が続くと今まで紹介した撮影地を含め将来的に撮影が出来なくなる可能性がある事を忘れてはならない。


まとめ


  • 午前逆光、午後順光
  • 焦点距離:150mm~200mm(西側滑走路)、500mm~(東側滑走路)
  • 脚立(3段以上)が必要
  • トイレ無し


アクセス


茨城空港前交差点から県道360号線で南に向かい、北山池緑地広場に延びる小道に左折する。道なりに滑走路方面に向かうと滑走路に並行した未舗装道路に突き当たる。この未舗装道路が撮影地となる。未舗装道路に面した畑と畦道は私有地の為、立入禁止となっている。間違っても入らない様に注意をして欲しい。

因みに茨城空港のターミナルビルや駐車場からは直線距離では近いものの、フェンスによって隔てられている為、直接行き来をする事は出来ない。




百里基地ガイド



Phantom Forever...



2020年12月10日、第301飛行隊所属F-4EJ改のラストフライトが百里基地で行われた。1972年8月1日に編成された「臨時F-4EJ飛行隊」を母体とし、1973年10月16日に日本初のF-4EJ配備部隊として発足した第301飛行隊は航空自衛隊史上最長の47年間単一機種運用という記録を持つ。まさに第301飛行隊の歴史そのものが航空自衛隊におけるF-4EJ運用史と言っても過言ではない。

百里基地で結成された第301飛行隊は約30年間の新田原基地での活躍を経て2016年に再び百里基地に戻って来た。部隊は来年度から新天地となる三沢基地に移動しF-35運用部隊となる予定だ。隊員は三沢基地に移る方もいれば、他の進路に進む方もいると言う。因みに部隊のマークであるカエル(愛称はケロヨン)は多少デザインが異なるものの新天地でも継承されるそうだ。


部隊マークは地元茨城に伝わる「四六のガマ」が黄色いスカーフを巻いているデザイン
部隊が所属する第7航空団をスカーフに描かれた7つの星で表している
(新田原時代は第5航空団所属だった為、星が5つだった)

ラストフライト当日、上空は濃い雲に覆われていた為、あいにくの空模様であったがラストフライトの模様は航空自衛隊の公式YouTubeチャンネルでも中継された。



1971年にF-4EJ初号機が納入されてから49年の長きに渡り日本の空を守って来た同機に敬意を示し、今回の記事を締めくくろうと思う。さらばファントム


次回投稿予定日


2020年12月18日(金)

「河口湖自動車博物館・飛行館」



参考文献


  • 「J Wings 2021年1月号」出版社:イカロス出版、雑誌15175-01
  • 「全国空港ウォッチングガイド」出版社:イカロス出版、ISBN978-4-8022-0192-6
  • 「元F-15パイロットが教える 戦闘機「超」集中講義」著:船場 太、出版社:シナノ書籍印刷、ISBN978-4-909400-87-1




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