2020年5月22日金曜日

世界旅紀行 イタリア Milano ミラノ


ローマが政治の中心であるならば、ミラノは経済とファッションの中心地。年に2回開催される「ミラノコレクション」の名前は誰しもが1度は耳にした事があるだろう。世界4大ファッションショーの1つで、開催期間中は街中が各ブランドのPRを兼ねた装飾で彩られる。

ファッションの中心地であるからか、ミラノっ子はお洒落好きが多い様に感じる。ミラノにお越しの際は本場のアパレルショップで自分や親しい人へのお土産を買ってみてはいかがだろうか。

アクセス



空路



ミラノの最寄りの空港は「マルペンサ」、「リナーテ」、「ベルガモ」の3か所。だが、リナーテ空港以外はミラノ中心街から離れている。
※( )内はロンドンの空港に例えた場合

マルペンサ空港
日本からの直行便も乗り入れるマルペンサ空港はイタリアで2番目に大きく長距離国際線も多く扱っている。(ヒースロー空港の様な存在)
中心街までのアクセス 鉄道:約1時間、バス:約1時間

リナーテ空港
ミラノ中心街から最も近いが、滑走路が短い(約2,400m)為、現在は近距離路線しか扱っていない。(ロンドン シティ空港の様な存在)
中心街までのアクセス バス:約30分

ベルガモ空港
ミラノの名前はついているものの、その実は隣町ベルガモに立地する地方空港。中心街までの距離はマルペンサ空港と変わらない。主にLCCが利用しており、東欧への中距離国際線も運行されている。(ガトウィック空港の様な存在)
中心街までのアクセス バス:約1時間

鉄路



ターミナル駅は「ミラノ中央駅」と「ポルタ・ガリバルディ駅」の二つ。前者は長距離列車、後者はローカル線を担当する事が多い。それ以外ではマルペンサ空港を結ぶマルペンサエクスプレスが発着する「ノルド・カドルナ駅」がある。

ミラノの歩き方



ミラノには路面電車(トラム)とイタリアで最も長い地下鉄網が広がっている。2020年現在、路線はM1,M2,M3,M5の4つが営業しており、2021年には5つ目の路線となるM4が完成する予定。(2015年に開業するはずが工事が難航した(平常運転)為、後発のM5に先を越されてしまった)

地下鉄の乗り方
運賃はロンドンと同じくゾーン制を用いている。中心部はMi1-Mi3まで一律料金。日本と同じく入場と出場の両方で切符を改札に通す必要がある。また、切符の磁気が非常に弱いため、磁石のついている物に触れるとすぐに使い物にならなくなる。(筆者はスマホケースに入っている磁石で切符が自動改札機で使えなくなってしまった)

自動券売機の列に並んでいると横から使用済みの切符を売りつけてくる詐欺があるので注意してほしい。運航会社であるATMのベストを着た地下鉄職員以外の言葉は信用しない方が良い。

Mi1-Mi3 1回券 €2.00


Mi1-Mi3 一日乗車券 €7.00


ミラノの見どころ


1. ミラノ中央駅



「世界一美しい駅舎」と言われるミラノ中央駅はまるで教会の中にいるような荘厳で美しい装飾が施されている。これは建築家ウリッセ・スタッキーニがアメリカのワシントンD.C.にあるユニオン駅の駅舎を参考に設計を開始し、〇ァシズムを西欧各国に広めようと思い立った当時の首相ムッソリーニによってより豪華な内装に変更された。

建物は大きく分けて4層構造になっており、最前列の車寄せ(Galleria delle Carrozze)、エントランス、待合室の3つのドーム(大部屋)を抜けると、鉄とガラスをふんだんに使用したトレイン・シェッドに覆われたホームにたどり着く。また治安を改善する為、ホームへは切符を見せないと入れないようになった。

車寄せ跡
エントランス
待合室
ホーム

2. ドゥオーモ



ミラノのシンボルであるドゥオーモは約500年もの歳月をかけて作られたゴシック建築の集大成。ルネサンス文化が花開いた14世紀後半に建築が開始され、18世紀かの地を征服したナポレオン・ボナパルトによってフランスの国費を投じて完成させた。これは占領政策の一環とみられる。

3. ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガッレリア



イタリア王国の国父ヴィットリオ・エマヌエーレ2世の名を冠するこのガッレリアはドゥオーモとスカラ座を結ぶ巨大なアーケードとなっている。デザインは当時の欧州で流行していたガラス張りのドームで天井を覆うもので、床面はモザイク画となっている。ちなみに床面にある牡牛のモザイク画には少し変わった風習がある。牡牛の急所を足で踏み一回転すると幸せになるとか。

建物とガラス天井の間にはフレスコ画が描かれている

4. スフォルツァ城



このレンガ造りの城塞はルネッサンス期に建築されたミラノ公国の中心。かつては星型城郭だったが、ナポレオンによって一部が破壊され、後に敷地面積の1/4ほどが復元されたものが現在の姿となる。




ミラノの新しいスポット?

世界一美しいStarbucks


日本でも最早日常となりつつあるシアトル発のコーヒーブランド「Starbucks」。近年は世界各国の地域に合わせたオリジナルデザインの店舗を展開している。日本の神戸北野異人館店などがその一つだ。そして、このミラノにも個性溢れるスタバが存在する。

2018年、イタリア初のスタバがミラノに開店した。「リザーブ・ロースタリー」と呼ばれる世界にも数店舗しか無い高級ブランド店だ(2019年に東京にもオープンした)。店内ではコーヒー豆が「チャーリーとチョコレート工場」の様なスチームパンク溢れる機械で焙煎されている。


あとがき



2020年1月から始まったイタリア編も今回で一旦区切らせて頂きます。次回はイタリアをまた訪れた際にしようと思います。現在、イタリアでも移動の制限が少しずつ緩和されており平常が取り戻しつつあると聞きます。また、以前のように自由に行き来ができる日が来ることを心待ちにしています。




2020年5月14日木曜日

【報告】当サイトの写真が雑誌「ヒコーキ写真テクニック」で紹介されました!


読者の皆様へ

サイト運営者のSebastianです。本日も当ブログを読んで頂き誠にありがとうございます。

この度、私事では御座いますが、イカロス出版様から本日発売されました「ヒコーキ写真テクニック 2020 Spring Summer」にて当サイトでご紹介させて頂いた作品2点が掲載されましたのでご報告致します。



1. 【ミリタリー部門】RAFレイクンヒース基地



朝日をバックにシルエットとして浮かび上がるF-15Eの写真です。撮影場所は基地の北西に位置するViewing Areaと呼ばれる場所で、順光となる昼過ぎになると航空撮影家達で賑わいます。併設されている無料の駐車場に車を止められず、路肩に溢れる位です。

この撮影場所の注意点は高くそびえるフェンスで、画角が限られてしまう事です。ですので、殆どの撮影家は着陸侵入時の機体を正面若しくは横から狙います。
車があれば比較的撮影し易い場所ですので、イギリスにお越しの際は是非お越しになって下さい。



2. 【エアライン部門】ヒースロー空港



ヒースロー空港の滑走路27Rにあるバス停から撮った写真です。この日はヒースロー空港周辺で用事があった為、空港外周の道路を歩いていた時に撮った作品です。カメラを持って行くか悩みましたが、結果として美しい夕焼けと飛行機のショットを撮ることが出来ました。


あとがき


今朝、郵便受けに届いた雑誌を見るまでは自分の作品が採用されるとは夢にも思っていませんでした。他の撮影者様の素晴らしい作品がある中で、私の作品を掲載して下さりイカロス出版様並びに選考に携わった方々に厚く御礼申し上げます。今後も研究を続けながら自分らしい写真の撮り方を追求していきたいと思います。


2020年5月8日金曜日

世界旅紀行 イタリア Venezia ヴェネツィア


イタリアに行ったら一度は必ず訪れたい街である水上都市ヴェネツィアは個性的な街が多いイタリアの中でも一際異彩を放っている。かつて地中海貿易によって栄華を極め、「アドリア海の女王」と呼ばれたこの町は今尚世界中の観光客を魅了している。

イタリア編 第3回 ヴェローナはここをクリック

アクセス



陸路でヴェネツィアに上陸する場合、鉄道道路併用橋であるリベルタ橋を渡る必要がある。鉄道と自動車用道路が伸びているのは島の入り口のみで島内の移動は島中に張り巡らされた運河を利用した水運か徒歩での移動となる。中央駅はサンタ・ルチア駅で高速列車や国際列車はこの駅を利用する。

オーストリア国鉄のレールジェット
ローマ発トリエステ行の寝台列車


ヴェネツィアの歩き方



ヴェネツィア本島は島の中央を大運河(カナル・グランデ)が南北に隔てている。鉄道駅は島の西側に位置し、町の中心であるサン・マルコ広場は駅から2.5kmほど東に位置している。大運河は水上バス(ヴァポレット)が頻繁に行きかっているので、目的地付近の桟橋までの利用が便利だ。



ヴァポレットに乗って大運河を巡る



ヴァポレットには鉄道やバスのような路線があり、各駅停車な路線もあれば有名観光地を結ぶ速達路線も存在する。もし、時間に余裕があるのであれば各駅停車である1系統の乗船をお勧めする。大運河をゆっくり移動するため船上からの眺めを堪能することが出来る。

運航会社のACTV社による運行情報 (他サイトに飛びます)

自然史博物館 (左)
カ・ペーザロ(中央左)は行政官の館
魚市場
リアルト橋
パラッツォ・バルビ宮殿(左)
アカデミア橋
S.M.デッラ・サルーテ教会(左)
プンタ・デッラ・ドガーナ (中世の税関)
大運河を抜けるとサン・マルコ運河に出る
ドゥカーレ宮殿
スキアヴォーニ海岸
溜息の橋
サン・マルコ広場

あとがき



ヴェネツィアのホテル事情について、一度行ったことがある方なら既にご承知の事と思われるが、ヴェネツィア本島のホテルは一般的に「(部屋が)狭くて(値段が)高い」と言わざる終えない。島の上の限られた土地に建つため、高級ホテルにあってもこじんまりとした佇まいの事が多い。週末遊びに来るイタリア人はイタリア本土にあるホテルを利用する事も多い。


2020年5月1日金曜日

世界旅紀行 イタリア Verona ヴェローナ


ロミオとジュリエットの舞台として有名な古都ヴェローナは北部イタリアの交通の要所だ。この町を通る鉄路は東西南北に伸びており、北はオーストリアの首都ウィーンやドイツ南部の都市ミュンヘン、東は水の都ヴェネツィア、西はファッションとビジネスの街ミラノ、南は工業都市ボローニャへと通じている。

イタリア編 第2回 フィレンツェはここをクリック

アクセス



交通の要所であるが故、イタリアを走る高速列車などの都市間交通だけでなくオーストリアから来るRailjetを始めとする国際列車が行き来している。その為、中央駅であるポルタ・ヌオーヴァ駅では機関車の入れ替え作業が今でも日常的にみる事ができる。

と言うのもこの駅のホームは東西にしか伸びていなくループ線等の列車の向きを変える設備が無い為、この駅を経由して南北を行き来する場合、制御客車を連結していない客車列車だと如何しても機関車の入れ替え作業が必要となる。

ドイツ南部の都市ミュンヘンから到着したユーロシティ
機関車を付け替え南(ボローニャ)へと向かう


ヴェローナの歩き方



中央駅から旧市街までは徒歩で20分程かかる為、駅前広場から路線バスの利用が便利だ。駅前広場には多言語対応の自動発券機があり、車内購入よりも安くバスの切符を手に入れる事ができる。

町の中心はアルプス山脈から流れるアディジェ川がS字型に大きく蛇行して流れている。

ヴェローナの見どころ


1. アレーナ



古代ローマ時代、世界各地に造られた円形闘技場の中でも紀元1世紀に造られたヴェローナのアレーナは殆ど完全な状態を維持している。1万8000人を収容できるこの競技場では夏季に野外オペラ祭が行わている。




2. マッツィーニ通り



アレーナから北東に伸びるマッツィーニ通りはカラフルな外観の土産物や衣料品店が軒を連ねている。400m程石畳の道を歩くと町の中心であるエルベ広場に到着する。

3. エルベ広場



市内中心部に位置するエルベ広場は果物や野菜を扱う市場が広がっている。ここでは古代ローマ時代に市民が裁判や集会を行っていた。広場中心部にある噴水は「ヴェローナのマドンナ」と呼ばれ、1368年に彫刻家のBonino da Campioneによって作られた。


4. シニョーリ広場



シニョーリ広場はイタリアを代表する哲学者であるダンテ・アリギエーリの像を囲むように市庁舎やヴェネツィア共和国支配時に総督が住んでいた官邸などが建っている。12世紀に市庁舎として建てられたラジョーネ宮から聳え立つランベルティの塔は入場料を支払う事で登る事ができる。



5. サン・ピエトロ城跡



ヴェローナ北西部に位置するサン・ピエトロ城からはヴェローナの街を見下ろす事ができる。アクセス方法は麓を流れるアディジェ川にかかるピエトラ橋付近からケーブルカー若しくは徒歩で登る方法と車で一般道からアクセスする方法がある。

ピエトラ橋
ピエトラ橋とドゥオーモ


6. カステルヴェッキオとスカリジェロ橋



旧市街地の北側、アディジェ川が蛇行している頂点にかつてヴェローナを収めていたスカラ家の城がある。因みにカステルヴェッキオとは古城の意味でこの城の固有名詞では無い。また、城から伸びるスカリジェロ橋は先の大戦で退却するドイツ軍によって爆破されたが、戦後再建された。


あとがき



今回取り上げたヴェローナは市街地の中央を川が流れている事などから、小さなフィレンツェとも呼ばれる事がある。比較的小さな街なので、半日もあれば主要な観光地を廻ることが出来るだろう。次回は世界的に有名な水の都を目指す。