英国の産業革命は人々の生活を大きく変え、大英帝国の礎となった。産業革命が英国で花を開いた理由の一つに英国連邦を構成する一国ウェールズ南部で採れる良質な石炭、通称ウェールズ炭(カーディフ炭)の存在がある。ウェールズ炭は一般的な石炭に比べ炭化が進んでおり、発熱量が高く煙が出にくい特徴がある。
大英帝国を支えたウェールズの鉱業も20世紀に入りエネルギーの主流が石炭からガソリンに変わると陰りを見せる様になる。現在では単価の安い海外産の石炭に押され多くの鉱山が閉山してしまった。
そんなウェールズ南部の炭鉱街は日本の国民的アニメ映画「天空の城ラピュタ」のモデルとなっている事をご承知だろうか。今回は、ウェールズの石炭業とラピュタの世界が体験できるビッグ・ピット国立石炭博物館(Big Pit National Coal Museum)を紹介する。
アクセス
ロンドンからはパディントン駅から鉄道でウェールズ南部の港町ニューポート(Newport)を目指す。優等列車も停車するので、比較的アクセスはし易い。しかし、道中にある観光都市バース(Bath)-ロンドン間は非常に列車が混雑する為、事前に座席を指定する事をオススメする。鉄道車両の解説はコチラ
ニューポート駅から徒歩10分程の距離にあるバス停(Market Square)からX24番バスに乗車し、約1時間Curwoodで下車する。バス停からビッグ・ピットまでは約1.8km徒歩20分程かかる。坂道が続く為、足腰に自信の無い方はあまりおすすめできない。
営業時間
9:00-17:00 (最終入場16:30)
炭鉱ツアー
10:00-15:30
入場料
無料
炭鉱ツアー
職員が施設内を案内してくれるツアーが開催されている。参加費は無料でエントランスを抜けて初めに見える建物の2階にある待合室で待っていると職員が迎えにくる。ツアー参加者は立坑に入る事ができるのだが、筆者が訪れた際はエレベータシャフトのメンテナンス中の為、坑内に入る事は出来なかった。
保存鉄道
炭鉱が閉山するまでは石炭を運ぶ為の鉄道がニューポートまで結んでいた。現在は廃線となってしまったが、一部はポンテプール&ブレナヴォン鉄道として残っている。
営業日:4月〜9月上旬の土日
運行回数:1日5便
乗車賃:往復£9
天空の城ラピュタとウェールズ
映画「天空の城ラピュタ」の監督である宮崎駿氏は制作前('85年5月)にプロデューサーの高畑勲氏のアドバイスでウェールズへロケハンに行っている。その際に見た炭鉱夫のストライキでの労働者の団結力や廃屋、大空を駆ける雲や草原の美しさは作品に大きな影響を与えたと宮崎氏は雑誌ロマン・アルバム(徳間書店)の取材で語っている。
あとがき
天空の城ラピュタが好きでウェールズに行きたいと考えている読者の皆様にお伝えしなければいけない事があるので、ここで書かせて頂きます。昨今のアニメ作品の様に作品で出来た風景が現実世界に全く同じ様に存在する訳ではありません。しかし、主人公のパズーが一人家に帰る際に歩いた原野や住んでいる炭鉱街の雰囲気を味わう事ができる。
参考文献
「ロマンアルバム・エキストラ 68 天空の城 ラピュタ」
出版社:徳間書店 昭和61年10月15日発行
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