2021年8月20日金曜日

横須賀本港を見下ろす高台 | 横須賀 一国坂


一国坂の頂上からは横須賀本港に停泊する船を眺める事が出来る


今回紹介するスポットはJR横須賀駅の裏手に聳える小高い丘の頂上に存在する。
横須賀は同じく軍港として栄えた広島県の呉と同様に、山がちな地形で坂が多く、平野部が極端に少ない。その為、丘にへばりつく様に住宅地が広がっており、独特な景観を作っている。

陸地の殆どは住宅で埋め尽くされている

一国坂も丘の上に住む住民の為に作られた生活道路だ。名前の由来は坂の下で2021年2月まで営業していた老舗旅館「一國屋(1889年創業)」から付けられたと言われている。

眼下には国道16号線が見える

車も通れない細い道の為、撮影の際は住民に迷惑とならない様に注意して欲しい。また、夏場はスズメバチが出る事もあるので、虫の対策をオススメする。


景色



この場所は昔から有名な撮影スポットとして知られている。眼下にはJR横須賀駅と海上自衛隊横須賀基地、右手奥には米海軍横須賀基地を眺める事が出来る。

艦船ウォッチング


一国坂頂上から眺めた艦船をご紹介
前回紹介した「メルキュールホテル横須賀」との違いも紹介します。

メルキュールホテル横須賀については過去記事を参照↓



  • 海上自衛隊 護衛艦「いずも(DDH-183)」



海上自衛隊第1護衛艦隊群 第1護衛隊所属の護衛艦「いずも」
武装は写真に写っている高性能20mm機関砲とSeaRAMの2種類のみであり、最低限の武装しか持たない。対空、対艦、対潜戦闘は艦載機か僚艦に委ねられるような形態を取っている。


メルキュール横須賀からH1岸壁に接岸している「いずも」を撮影しようとすると、正面からの俯瞰であったが、こちらは斜め前方からの俯瞰となり、右舷後方を確認することが出来る。

  • 海上自衛隊 護衛艦「てるづき(DD-116)」


「あきづき」型汎用護衛艦(DD)の2番艦「てるづき」
先述の「いずも」とは異なり第2護衛艦隊群 第6護衛隊に所属する
この日は主砲であるMk.45 62口径5インチ単装砲を最大仰角まで挙げていたため、砲塔の点検を行っていたものと思われる。

  • 米海軍 アーレイ・バーク級イージス駆逐艦「ジョン S. マッケーン(DDG-56)」


船体の錆が目立つが、右舷側では櫓を立てて何やら補修作業の真っ最中だ

イージス艦の完成形とも評されるアーレイ・バーク級は1991年に1番艦「アーレイ・バーク(DDG-51)」が就役してから延べ68隻が就役しており、米海軍の中核を成す戦闘艦となっている。本級は建造時期でフライトI(21隻)、フライトII(7隻)、フライトIIA(40隻)、フライトIII(計画中)の4つに大別され、フライトIIAはさらに7隻が追加建造中(若しくは予定)、フライトIIIは15隻が建造予定だ。

「ジョン S. マッケーン (DDG-56)」
よこすか軍港めぐりにて撮影

本艦は初期生産型のフライトIに属する。しかし、近代化改修が施されている為、フライトIIとは外見だけでなく戦闘・索敵能力の違いも殆どない。

本艦の名前が一般に知られるようになった事件がある。本艦は2017年にマラッカ海峡を航行中、リベリア船籍のタンカーと衝突し、乗組員10名が殉死、5名が負傷した。この事故を含め2017年は太平洋艦隊で事故が多発した。その為、横須賀を拠点とする第7艦隊の司令官が更迭される事態にも発展した。
その後、2019年10月に事故で受けた損傷の修理が完了し、再び横須賀を母港として活動している。

アクセス


JR「横須賀駅」の改札を出て左側に見える小高い丘が今回紹介した撮影地

  • JR横須賀線「横須賀駅」から徒歩10分
  • 京急本線「汐入駅」から徒歩20分




まとめ


  • 高台からの俯瞰
  • 昼順光
  • トイレ・コンビニなし
  • 徒歩でのみアクセス可

あとがき

撮影地付近で見かけた野良猫

今回は撮影地の紹介と共に、アメリカ海軍の「アーレイ・バーク」級「ジョン S. マッケーン」を取り上げさせていただきました。折角なので過去に基地公開で撮影した写真等を基にアメリカ海軍の「アーレイ・バーク」級についても、いつか特集してみたいと思います。
いつになるかは確約出来ませんが、気長にお待ちいただければ幸いです。

参考文献


  • 「J Ships(2021年8月号 Vol.99) 護衛艦メカニズム図鑑」イカロス出版 雑誌:15167-08
  • 「世界の艦船 アメリカ海軍 2021」海人社 雑誌:05604-1
  • 「世界の艦船 米イージス艦「アーレイ・バーク」級」海人社 雑誌: 05604-12


2021年8月13日金曜日

客室から軍港ウォッチング | メルキュールホテル横須賀


メルキュールホテル横須賀では客室から護衛艦や潜水艦、アメリカ海軍の艦艇が見える!


今回、紹介する撮影スポットは京急線の汐入駅にほど近い「メルキュールホテル横須賀」だ。

このホテルは元「横須賀プリンスホテル」として建てられた建物で、設計は東京都庁やフジテレビ本社ビル等を手掛けた建築界の巨匠「丹下健三」氏の設計だ。


灰色を基調として角ばった形状は東京都庁ビルに通じるものがある

最大の特徴でもある20階建ての高層ビルからは、横須賀本港を一望する事が出来る。7階から16階は通常客室、17階は専用ラウンジ付デラックス客室、18階は宴会場、19階はレストラン、20階は催し物会場となっている。

今回、筆者は港側が見える「ベイビューオプション」を利用して16階の客室に泊まる機会を得たので、滞在記を紹介させていただきます。


客室



スタンダードタイプのベイビュー客室はツインとダブルの2種類から選択できる。水回りはユニットバスとなっており、ビジネスホテルの標準装備が整っている。勿論、客室内ではWiFiが使える様になっている。


景色



客室の備品は年季が入っており、最新のビジネスホテルと比べると少し見劣りする点もあるが、窓から見える横須賀本港の景色は絶景だ。

夏場は条件次第で夕方になると海面に映る美しい夕焼けを眺める事が出来る。毎日見れる訳ではないので、滞在の際は日が沈んでから30分間は是非外の景色を眺めて欲しい。



艦船ウォッチング


海上自衛隊 吉倉桟橋とH1岸壁

今回の滞在で客室から見えた艦船をご紹介

  • 海上自衛隊 護衛艦「いずも」



近年では空母化のニュースで耳にする事が多い海上自衛隊最大の護衛艦である「いずも」。去る2021年6月25日、空母化に向けた一次改装を終えて1年3か月ぶりに横須賀基地H1岸壁に戻ってきた。今後、アメリカ海兵隊に協力して貰いステルス戦闘機「F-35B」の発着艦試験を行う予定だ。その結果を基に2024年度末、大規模な第2次改修工事が行われる予定である。

1次改装によって甲板上の表記やF-35Bの排気から電子機器を守る
ブラスト・ディフレクター(金属製の盾)が追加された

因みに日本のニュースでは固定翼機の運用能力付与を空母化と呼んでいるが、英語圏では空母はAircraft Carrierと呼ばれる為、ヘリコプター(回転翼機)しか運用出来ない現状でも空母と認識されている。Aircraft(航空機)は固定翼機や回転翼機、飛行船などの空を飛ぶ乗り物の総称であるからだ。


タグボート4隻により出港作業中の護衛艦「いずも」

偶然にも護衛艦「いずも」の出港シーンを見る事が出来たのでタイムプラス動画を作成致しました。窓際の椅子に座って出入港を眺める事が出来る事もこのホテルの魅力です。






  • 海上自衛隊「おやしお」型潜水艦



現在、海上自衛隊が運用する潜水艦は「おやしお」型と「そうりゅう」型の2種類で本艦は旧式の「おやしお(二代)」型に分類される。潜水艦は護衛艦と異なり、任務の秘匿性から艦番号が書かれていない為、船名を特定するのは難しいが、最新鋭の「そうりゅう」型はX字型の潜横舵を持っている事から、本艦は「おやしお」型である事が一目で分かる。


豆知識


12号バースに停泊中の「ロナウド・レーガン(CVN-76)」

船に詳しくない方もニュース等で聞く事の多いアメリカ海軍の原子力空母「ロナウド・レーガン(CVN-76)」は今回出港中であったが、仮に入港していたとしても当ホテルから見る事は難しい。

12号バースは右から1番目と2番目のクレーンの奥

全長が東京タワーとほぼ同じ332.9mもある巨体が利用できる岸壁は限られている。横須賀入港時に使用する12号バースは客室から見て右側に見える米軍基地施設の奥に存在する為、残念ながら全体を見通すことは出来ない。


空母「ロナウド・レーガン」に関しては過去記事を参照↓


朝食



素泊まりの宿泊プランでも追加料金(筆者が使用したプランでは¥1,950円)を支払うことで朝食を追加することが出来る。会場は19階にある「ビストロ・ブルゴーニュ」を利用する。カウンター席からはベイビュー客室と同じく横須賀本港を見渡すことが出来る。

また、ビュッフェスタイルの朝食の中には横須賀を母港とする海上自衛隊の護衛艦「ゆうぎり(DD-153)」のレシピを再現した特製カレーが含まれている。もし、朝食を頂く機会があれば、絶対に外せないメニューだ。



アクセス


京急本線「汐入駅」より徒歩3分

JR横須賀線「横須賀駅」より徒歩11分

有料駐車場あり


あとがき


COVID-19パンデミックの影響で人との接触が避けられる今日、空調の効いた快適な客室から優雅に艦船見学をしてみるのは如何だろうか。


公式ホームページ


メルキュールホテル横須賀

公式サイトより予約をするとアコーホテルグループのポイントが溜まります。次回利用する時に便利ですので、もし再度訪れるご予定がある場合は公式サイトからの申し込みがおススメです。


参考文献


  • 「J Ships(2021年8月号 Vol.99) 護衛艦メカニズム図鑑」イカロス出版 雑誌:15167-08
  • 「J Ships(2009年 Vol.37) 潜水艦入門」イカロス出版 雑誌:15167-09


次回投稿予定日


2021年8月20日(金)